学会長挨拶

第30回学術集会学会長 山崎 隆恵(北海道教育大学札幌校)

 会員の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 さて、一般社団法人日本養護教諭教育学会第30回学術集会を2022年12月3日(土)~4日(日)に札幌市教育文化会館で開催いたします。
 昨年は国民学校令に養護訓導が位置づけられた1941年から80年経ち、今年は本学会が設立された1992年から30年経とうとしています。
 そこで、テーマは「職制80年を経た今、養護教諭の実践の可視化について探究する」とし、学会設立30周年記念集会を同時開催することにしました。

 学校においては児童生徒の心身の健康課題が複雑化・多様化の一途をたどり、きめ細かな対応が必要とされ、一方で感染症の広がりやいつ起こるか分からない自然災害等に備えることも求められています。このような時代の流れの中で、学校保健推進の中核的役割が求められる養護教諭は、多様化する問題を前に、何に焦点を当てて実践を行っていくのか常に考えなければなりません。
 今回一つの手がかりとして「実践の可視化」から考えたいと思います。子どもの心身の不調の背景にある問題の可視化、そこに求められる養護教諭の役割の可視化、目指す健康な子ども像の可視化、そして、養護教諭の子ども対応の中に潜む他の職業ではなしえない独自の能力の可視化があると考えます。これらから養護教諭は何を大切にして実践を重ねるのか改めて考えたいと思います。そして、先の見えない状況が続いている感染症への対応や心身の健康課題の複雑化を乗り越えていきたいと思います。
 会場での議論、オンラインでつなぐ全国各地のみなさんとの議論、この両方から次の養護実践の掘り下げに結び付けていきたいと思います。

 特別講演は、『この歌をあなたへ』(2021年・祥伝社文庫)の著者である大門剛明氏にお願いしました。この本は殺人犯の家族と社会との関わりを一学年一学級の小学校に勤務する29歳の養護教諭・蒼衣の日常を通して描いています。学校という存在やそこで働く教職員、特に養護教諭がどのように氏の目に映っているのかを語っていただくことで、養護実践や養護教諭としての生き方につながる示唆が得られるものと思います。

 シンポジウムは、本学術集会のテーマに掲げた養護教諭の実践の可視化について探究することに迫るために、教育現場等で実践している方々にご提言いただき、フロアの方々を交えて議論していきます。

 ワークショップは3題予定しています。一般演題発表等につきましては、後日詳細を掲載いたします。

 北海道での学術集会開催は3回目となりますが、今回はハイブリッドでの開催という新しい取り組みを予定しており、寒い季節ではありますが会場と全国を熱い議論でつなぎたいと思っています。
 皆様との対面での議論は、頭だけでなく心もつなぐものと思いますので、できれば札幌の会場にお越しいただき、多くの交流を持ちたいと願っています。

 なお今後、開催内容に変更が生じる場合がありますので、最新情報は学会HPでご確認ください。実行委員一同、皆様のお越しをお待ち申し上げております。

                

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